【早期乳がん】メスを使わない「ラジオ波焼灼療法」が保険適用開始。メリットや注意点は?

「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA=Radiofrequency Ablation therapy とも)」は、がん細胞に細い電磁針を刺し込んで電磁波を流し、熱によってがんを焼灼(焼くこと)する治療法です。「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」という機器を用いたラジオ波焼灼療法は、肝がん、肺がん、腎がんなど、さまざまながんに対する保険適用が認められています。2023年7月7日には、早期乳がんについても厚生労働省から薬事承認され、2023年12月1日から保険適用が可能となりました。本記事では、ラジオ波焼灼療法の特徴やメリット、注意点などについて詳しく解説します。

乳がんについてのおさらい

乳がんは、乳腺組織の乳管や小葉から発生するがんです。主な自覚症状は、乳房のしこり、くぼみ、乳頭や乳輪の変化、乳房の形が非対称、乳頭から分泌物が出るなどです。

早期乳がんの治療は、外科手術によってがんを摘出する方法が選択されます。ただし、画像検査では見えないほどの小さながんが残っている可能性があるため、手術後に薬物療法によって体内から完全にがんを取り除くことを目指します。

また、外科手術より先に薬物療法を行い、反応を確認した上でがんを取り除く場合もあります。

今回、早期乳がんの治療に保険適用となったのは、「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」によるラジオ波焼灼療法です。すべての早期乳がんに適用できるわけではなく、詳細については日本乳癌学会の定める適正使用指針をご確認ください。

出典:一般社団法人日本乳癌学会「ラジオ波焼灼術(RFA)早期乳癌適正使用指針 (一般向け)」https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/citizens/RFA10252023.pdf

ラジオ波焼灼療法はどんな治療か

ラジオ波焼灼療法は、乳房の皮膚に電磁針を刺し、通電して電磁波を発生させることで熱を与え、がん細胞を焼灼する治療法です。針が刺さったところから周囲3cmほどの組織が変成し、腫瘍が壊死します。針を抜いた後は絆創膏を貼るだけの処置で済み、外科手術と比べて患者への負担が少ない治療法です。通電する時間は5~8分のため、時間的な負担も少なく済みます。

ラジオ波熱焼灼療法に使用する「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」は、従来品よりも直感的な操作が可能となっているほか、安全機能も多数搭載されています。また、リンパ節転移および遠隔転移を認めない早期乳がんの患者372名を対象に行ったRAFAELO試験(NCCH1409試験)では、乳房の部分切除を行う外科手術に劣らない成績が報告されています。

治療のメリットと注意点

ラジオ波焼灼療法が適用となるかどうかは診断時の状態によって異なります。医師からラジオ波焼灼療法を提案された際は、メリットや注意点について説明を受け、慎重に検討することが大切です。

ラジオ波焼灼療法のメリットと注意点について、詳しく解説します。

メリット

ラジオ波焼灼療法のメリットは以下のとおりです。

・乳房の形状をそのまま残すことができる

・治療時間が短い

・繰り返し行える

ラジオ波焼灼療法はがん細胞に直接針を刺して熱に送り込む方法のため、乳房の組織に大きなダメージを与えません。部分的に切除する必要もないため、乳房の形をそのまま残すことができます。乳房の形が変わることで悩みを抱える患者さんもいる中形を残せるのは大きなメリットといえるでしょう。

ラジオ波焼灼療法は、手術よりも短時間で完了します。入院期間は3~6日程度と、乳房を温存しない方法での手術と比べて短いため、私生活や仕事への影響を抑えることができます。

ただし、がんの状態や進行度などによって最適な治療法が選択されるべきです。

注意点

ラジオ波焼灼療法を受けられるかどうかは、がんの状態や進行度などで異なります。例えば、腫瘍が大きさは1.5cm以内とされ、もし腫瘍が小さくても複数ある場合には適用できない可能性があります。事前に検査や診察を受けて、医師のアドバイスや提案を踏まえた上での意思決定が重要です。

また、手術と同様に、ラジオ波焼灼療法もリスクが伴います。合併症や副作用について十分に説明を受けたうえで判断しましょう。合併症としては、感染症、出血、皮膚の熱傷などがあります。

術後は、再発予防を目的として1か月以内に放射線治療を行い、目に見えないほどに小さながん細胞を死滅させます。また、ラジオ波焼灼療法の治療前に行った針生検によって乳がんのサブタイプを調べ、必要であれば再発予防の補助として抗がん剤治療やホルモン療法、HER2療法などを行います。

保険適用の意義

ラジオ波焼灼療法が早期乳がんに対する有効性を認められたことにより、乳房の切除を伴わない治療が、経済的な負担を抑えて受けることができます。他の保険適用の治療とラジオ波焼灼療法を比較し、経済的な負担をそれほど考慮することなく、より適した治療を選択できることが可能です。

まとめ

Cool-tip RFAシステム Eシリーズによるラジオ波焼灼療法が保険適用となることで、身体的・経済的な負担を抑えつつ、早期乳がんの治療を受けることができます。

また、早期乳がん治療において乳房の部分切除を行う外科手術に劣らない成績を挙げていることから、早期乳がんのスタンダードな治療の1つとして広まる可能性があります。今回、解説した内容を参考に、ラジオ波焼灼療法について理解を深めるとともに、受けたいと思う場合は主治医に相談しましょう。

■医療監修

西 智弘 医師

2005年北海道大学卒。
室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。
その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修し、2012年から川崎市立井田病院にて腫瘍内科・緩和ケアに従事。
また2017年に一般社団法人プラスケアを立ち上げ、暮らしの保健室や社会的処方研究所の運営に携わっている。

参考文献

出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法による切らない治療が薬事承認・保険適用を取得 先進医療制度下で実施した医師主導特定臨床研究の成果を活用」

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/1215/index.html

出典:一般社団法人日本乳癌学会「市民のみなさまへ」

https://www.jbcs.gr.jp/modules/citizens/index.php?content_id=1

出典:Medtronic「Cool-tip™ RFAシステム Eシリーズ」

https://www.medtronic.com/covidien/ja-jp/products/ablation-systems/cool-tip-rf-ablation-system-e-series.html#

出典:がんプラス「早期乳がん ラジオ波熱焼灼療法による切らない治療の可能性」

https://cancer.qlife.jp/series/as005/article8426.html

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