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私のがん体験談PART.2 乳房摘出を乗り越えた思いを綴る-「小野省子」さん –

2022.12.09

私のがん体験談PART.2 乳房摘出を乗り越えた思いを綴る-「小野省子」さん -

「誰かの役に立ちたい」という思いから、SNSを通してがんの体験談や闘病記を発信する方が増えています。こうした発信を通じて、生活の変化や日々の率直な思いをリアルタイムで知り、そこから交流が生まれ、闘病生活の心の支えを得ている人も少なくないのではないでしょうか?闘病記の発信の仕方は人それぞれですが、このシリーズでは、イラストでご自身の体験を綴っているインスタグラマーに着目してご紹介していきます。今回は、 乳がん治療を振り返りながら日々の思いをイラストを使って綴っていらっしゃる小野省子さんにお話 を伺いました。

小野省子さんイラスト

Instagramはこちら

・投稿開始日:2021年4月16日

・フォロワー数:1,940人(2022年12月9日現在)

・投稿数:172件(2022年12月9日現在)

乳がん治療に関する医師や看護師とのやりとりのほか、好きなアーティストのこと、家族との日常生活などを中心に綴っている。

−SNSを通して、闘病記を発信しようと思われたきっかけは?

一番は、同じ体験をした方と、思いを共有したかったからです。乳がんになってみて初めて、気がついたことがたくさんあって、「こういうときってあるよね?」「こんなときってどうしていた?」というような気持ちを吐き出したくなりました。その中には辛いことばかりではなく、患者同士だからこそ笑いあえるような冗談も含まれていました。病人の自虐ネタなんてあまり笑えたものではないけれど、「同じ立場の人だったら、一緒に笑ってくれるんじゃないかな?」と思ったんです。とは言っても、乳がん宣告直後の私は、冗談なんて言える心境ではありませんでした。世の中に溢れている癒しのコンテンツにふれてみても、まったく心に響きませんでした。おもしろいことなんてもう何もないや、と暗い顔をして過ごしていたとき、やっと笑えたのが、ラジオから流れてきた全然知らない人のとりとめのない話でした。そこからはずっとラジオと共に過ごしました。こんな感じの乳がん患者の日常を綴っているのが、私のInstagram。ご覧になる方の中には、乳がんに罹患した人もそうでない人もいらっしゃると思いますが、がんという病への理解が深まる手助けに、少しでもなれたらいいなと思います。

−イラストを使って発信しようと思われたのはなぜですか?

単純に子どもの頃から絵を描くのが好きだったからです。子育てが一段落したら、いつか絵画教室に行ってみたいと思っていました。でも、道具を揃えたりしなくてはいけないし、お金も場所も必要だし、どうしようかなと迷っていたときに乳がんになりました。 実をいうと、今イラストを描くのに使っているiPadは、がん保険の一時金が入ったときに買ったものです。「このお金は自分を幸せにするために使おう!」と思って、近所の家電量販店に行って、iPadとiPhoneを買いました。「こんなに辛いことがあったんだから、自分に何かいいものを買ってあげよう!」と思ったんです。デジタルの絵だったら場所もとらないし、iPadひとつで描けるし。使い方はYouTubeで勉強して、描き始めました。 そして、Instagramは会社の先輩がすすめてくれました。どちらもとっても楽しいです!

ーもともと漫画などもお好きなのでしょうか

はい。大好きです。エッセイ漫画では、吉田戦車さんの「まんが親」や、内田春菊さんの「私たちは繁殖している」。西原理恵子さんの「毎日かあさん」などを読んでいました。まだ結婚もしていないうちから子育てまんがを読んだりもしていました。自分とまったく違う世界で暮らしている人たちの日常が見られるというところがおもしろかったんです。コメディ調が好きなので、深刻な雰囲気のものはあまり読みません。少女漫画の歯がゆい展開も苦手です。ひたすら楽しく読みたいので。それなので自分が描くときも、なるべく読後感がいいように心がけています。

ーSNSでの発信を続けてよかったことは?

一人ぼっちではなくなったことです。家族がいるので、もちろん一人ぼっちではないですが、利害関係のない集団の中にいる心地よさ、みたいなものを手に入れました。家族や職場では、自分に役割があるので、それをこなさなくてはいけない。でも、SNSの中の私はなんの役割もないので、お気楽に弱音を吐いたり、愚痴を言ったり。それを見ている人たちも、親や上司ではないのでいさめたり、正したりはせずに、気軽に共感してくれます。自分でも「そうじゃない」と思いつつも、ただただ「いいね!」って軽く共感してほしいときってありますよね。

それから、テレビ番組のプロデューサーだったフォロワーさんがお声がけくださり、ピンクリボン月間の乳がん特集の一部として、テレビ番組で、私のインスタアカウントを取材していただいたこともいい思い出です。闘病中に聞いていたラジオでハマった、大好きなアーティストのライブシーンと私が話している場面が、同じ画面上で並んだのですが、その瞬間に一番「インスタやっててよかった~!」と思いました! 遠隔で共演できたみたいで、とっても興奮しました! 録画していたので、その場面だけ何度も見てしまいました。

−読者の方へのメッセージをお願いします

私のがんの治療は今のところ落ち着いているので、最近の更新ではがん治療のエピソードは少なくなってきました。かわりに日常のたわいのない話、子育てや仕事のこと、好きなアーティストのことなどを気ままに書いています。フォロワーさんは乳がん罹患者の方が多いので、乳がん以外の投稿はあまり興味がないかもしれないと思っていましたが、変わらず反応してくださるのがとてもうれしいです。乳がんの話で盛り上がったフォロワーさんと、子育ての話で盛り上がったり、治療のことで励ましてくれた方が、今度は仕事のことで励ましてくれたり。私もそうであるように、乳がん患者だけでくくれる人なんていなくて、みんな普通の日常を送るお母さんだったり、会社員だったり、誰かの娘さんだったりするんだなと改めて実感しています。平凡な日常の中で突然病気になるわけですから…。このままがん治療の更新がないことを祈りつつ、ゆるゆると皆さんとおしゃべりを続けていきたいです。

編集部イチオシ投稿をご紹介!

No.1 ずっとラジオを聴いていました

https://www.instagram.com/p/COulWJAs3s0/?utm_source=ig_web_copy_link

小野省子さんインスタグラム投稿画像

抗がん剤投与後に1週間ほど寝込んでしまう間は、ずっとラジオを聞いていた小野省子さん。何気ない人のおしゃべりをだらだら聞いているとホッとできたようです。

No.2 手術前は「WiFi借りなきゃ」

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小野省子さんインスタグラム投稿画像

昨今、私たちの生活でなくてはならない存在となっているWi-Fi環境。入院前に必要なものとして、ポケット型Wi-Fiはなかなか思いつかないものですよね。納得です。

No.3 自分が思うほど、人は他人の髪の毛のことなど興味はない

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小野省子さんインスタグラム投稿画像

ウィッグを使い始めたあと、周囲の人に「髪型変えた?」「髪伸びたね」と言われることが続いた小野省子さん。案外、他人は人の髪の毛に興味がないのかもと考えるようになったエピソードが綴られています。

No.4 ぺたんこの右胸だって大切にしていこうと思いました

https://www.instagram.com/p/CVq5B9dBuJW/?utm_source=ig_web_copy_link

小野省子さんインスタグラム投稿画像

放射線治療中に、だしっぱなしにしていた胸を放射線技師がタオルで隠してくれたときのエピソードと気持ちの変化を率直に描き残しています。ぺたんこの胸でも自分の大切な体である事実は、何も変わらないことを思い出させてくれたのかもしれません。

小野省子さん書下ろし応援イラスト

※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。

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