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【体験談】私なりの乳がん再発・転移不安との向き合い方  part.1 えりこさん [30代・HER2陽性ホルモン受容体陽性]

2023.03.27

えりこさんプロフィール

38歳だった2021年7月入浴中にしこりを見つけた次の日に病院を受診し、8月に乳がんの診断、発見時のしこりは1cm(ステージ1)。HER2陽性、ホルモン受容体陽性のトリプルポジティブ乳がん。手術、抗がん剤、放射線、ホルモン療法とフルコースで治療をし、現在も継続中。抗がん剤治療中は『変わらない自分』と『なりたい自分』の両方になれるウィッグの魅力に気づき、治療中であってもオシャレを楽しむ様子をSNSで発信。現在はウィッグや乳がんについての情報を発信している。3兄弟の育児に奮闘するママ。

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弱いところは弱いところで認めて、そこから前に進んでいけばいいかも

ー 乳がんの発症から約1年半経った現在、再発や転移の不安はありますか?

えりこさん:再発や転移の不安というのは、めちゃくちゃあります。不安がない人なんていないんじゃないかなと思います。でも、そこにばかり目を向けていても、再発するかしないかは誰にも分からないし、分からないことで悩んでいてもしょうがないという考えに、最近行き着きました。

ときどき心の闇が襲ってくることもありますが、結局考えたってどうしようもないから、悩んでいる時間がもったいないと思って、とにかく楽しいことを考えたり、遊びに行く予定の場所をグーグルマップで調べたりして、気持ちを切り替えるようにしています。

ー Instagramで乳がん罹患後の生活を積極的に発信していると、同じ経験をした方から相談を受けることも多いのではないですか?

えりこさん:はい。ダイレクトメッセージで相談をいただくことはけっこうあります。やっぱり「前向きになりたい」と、もがいている方は多いと思います。相談してくる方は頑張り屋さんが多くて、「前を向かなきゃいけない」って思っているんですよね。自分の気持ちの弱いところを「こんなんじゃだめだ」みたいに否定して。

でも、否定すると前に進めないと思うんです。私は「自分の弱いところは弱いところで認めて、そこから前に進んでいけばいいんじゃないですか?」と、アドバイスしています。私も、不安で眠れなくなって心療内科に通ったこともありますから。

ー 無理に前を向こうとしないでもいいっていうことですかね。

えりこさん:はい。あとは、落ち込んでいる人の中には、何回励ましても気持ちが上がってこない人もいると思います。でも結局、最後に這い上がってくるのは本人の力にかかってくると私は思っているので、無理に引き上げようとはしないようにしています。

落ち込んでいるときって、遠い先を見すぎてしまう傾向があると思います。「10年後、20年後、生きているのかな」とか。でも、健康な方だって先には何があるかわからないじゃないですか。

そんな時に、「少し先」を見るようにすると、私は少し気が楽になりました。「今の治療が終わったら、あそこのお店でおいしいご飯食べよう」とか、「来年はあそこに旅行に行こう」とか。そこに向かって頑張っていけばいいと思って過ごしています。

やってほしいことと、やってほしくないことを正直に話した

ー これまで、精神的に一番つらかった時期はどんな時期ですか?

えりこさん:針生検をしてから、結果がでるまでの1か月弱が一番つらかったですね。

「自分は乳がんなのかもしれない。いや、もしかすると、ただの良性のしこりで、乳がんではないかも…」という感情の波がジェットコースターのように襲ってくるんです。気持ちのアップダウンがすごくあリました。落ちるときは誰かに突き落とされるような感覚で、それがしんどかったです。

検査を待っている間って、そのことがずーっと頭の中にあるんです。もし乳がんじゃなかったらあんなことをしたいとか、でも乳がんだったら親や友人など周りとの関り方も変わってくるし、どうしようという不安が沸いてきます。

敵の正体がわからないし、すでに転移しているかもしれないという不安もありました。そういうことも、告知を受けると、戦う相手が見えてクリアになりました。

ー 「これはやって良かった」と思うことを教えていただけますか?

えりこさん:乳がんになる前は筋トレを趣味にしていたのですが、がん治療になってからは半年間できなくなってしまった代わりに、人とたくさん会うことで気分転換をしていました。

その時に、友人にやってほしいこととやってほしくないことを正直に話したんです。「困っているからおせっかいして」「手を差し伸べて」と正直に伝えたんです。もともと人に頼るのが嫌いで何でも自分でやりたいタイプだったんですけど、病気はそんな性格を変えようというメッセージだったのかな、と思っています。

助けてほしいということを正直に伝えたおかげで、体がつらいときに友人が夕ご飯のおかずを作ってきてくれたり、逆に私の調子がいいときは持っていったりするようになりました。助け合いって大事だと思います。

がん罹患者のまわりにいる人って、「がんを告白されて助けてあげたいんだけど、どう力になってあげるのがいいのかわからない」という人が多いんじゃないかなと思います。だから、しっかり伝えてあげるのがいいと思います。

ー 今は、そこまで気分が落ち込むことはないですか?

えりこさん:腰が痛んだり、頭がズキッとしたりすると、「転移したかも」と、一瞬不安になることはあります。

でも、私はステージⅣのがんを乗り越えて元気にしているサバイバーの方とも知り合うことができて、やりとりをしているので、そこまで落ち込まないですね。

ステージⅣでも元気にしている人がいるんだから、「もし自分が再発しても、そのときにまた前を向いて治療をすればいいんだ」と、そんな風に思えるようになりました。

私がInstagramで元気をもらったのと同じように、私の投稿を通じて元気になってくれる人がいるんじゃないかなと思って、自分が楽しいと思うことを日々、発信しています。

罹患されて今も元気にしている方の姿を見たり、実際に話を聞のもいいと思いますよ。勇気を出して連絡を取ってみると、同じ悩みを抱えている、もしくは過去に抱えていた仲間が見つかるかもしれませんし、心の支えになってくれるはずです。

※この記事の内容については個人の体験を元に構成したものであり、治療等の条件や病気との向き合い方はすべての方に当てはまるわけではありません。

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