リンパ浮腫のお悩み軽減に、乳がんヨガ講師考案プログラム

2022.11.11

乳がんヨガインストラクター平沼穂香(ひらぬま・ほのか)さん

With Miでは、がんを経験した女性が毎日をご自分らしく過ごしていただけるようWith Miオリジナル「乳がんヨガ」プログラム動画を作成しました。第3回は、リンパ浮腫にお悩みの方へ向けた内容です。本プログラムを開発したのは、早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科で人体について専門的に学び、「女性がんリハビリサロン-BLUE ORGANIC SPACE-」を主宰する平沼穂香さんです。動画前半では、上肢のリンパ浮腫に悩まされている方に適したヨガのポーズ。動画の後半は、下肢のリンパ浮腫にアプローチするポーズが中心となっています。リンパは動脈の拍動に乗るため、運動が効果的だと言われています。ただし、運動後に浮腫みやすくなることもある ので、不安な場合は、かかりつけ医などに相談してから行うようにしてみてください。

ヨガについて

近年、世界中で親しまれているヨガ。先進国、特にアメリカでは政府機関などが中心となり、補完医療のひとつとして積極的にヨガの普及に取り組んでいるそうです。それに伴い 、数多くの論文が発表されるようになりました。日本でも、厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 eJIM で、ヨガに関するエビデンスなどの情報が発信されるようになりましたこれまで、「ヨガをするとなんとなく心地良いな… 」と感じていたことが科学的にも証明され始めています。ヨガは競技やレッスンとは違い、誰かと自分を比べたり、見た目の完璧さを 求める必要はありません。心地よくヨガを行う“いま”この瞬間に集中することで、心身がリフレッシュしていきます。身体の調子が整うだけでなく、マインドフルネスにもつながりますので、ヨガを楽しむ気持ちで取り組んでみてくださいね。

プログラムに入る前の注意事項

ヨガをする女性

今回は、リンパ浮腫のために体の不自由さを感じている方に向けた内容ですから、決して無理することなく、できる範囲で行ってください。

では、ヨガを行う前に以下をチェックしてみましょう。

・いまの体調はいかがですか? 痛みや気がかりなことがあるかご自分の頭からつま先までをスキャンするようにチェックしましょう。

・動きやすい服装ですか?医療用弾性着衣をお持ちの方はそれを身に着けて行うといいでしょう。

・汗をぬぐうタオルや、水分補給のドリンクをお近くにご用意ください。

・ヨガを行うときは、空腹が良いとされています。できるだけ、食事から2時間程度空けてから行いましょう。

ヨガでもっとも大切なことは、難しいポーズを無理に頑張ることではなく、ゆったりとした呼吸を続けることです。ヨガを始めたときは調子がよくても、途中で苦しいな、つらいなと感じたら、お休みのポーズを取ったり、それ以上は行わない選択をしましょう。本プログラムでは、身体の動きをサポートするために、クッションや椅子、机などを使うポーズが含まれます。 クッションが用意できない場合は、毛布やブランケット、バスタオルなどを折りたたんで使ってみるのもいいですね。大切な身体を預ける椅子や机は、キャスター等のない安定したものをご使用ください。

プログラムについて

それでは、動画に合わせてポーズを取っていきましょう。

本プログラムは、前半1-7(動画1:35頃~)は上肢リンパ浮腫の方、後半8-14(動画10:59頃~)は下肢リンパ浮腫の方、最後の15(動画22:15頃~)は全員にお薦めのポーズです。全て行っても良いですし、 ご自分の状態に合わせてポーズを行っても良いですね。ポーズの一部に、道具を用いた「リストラティブ ・ヨガ」が組み込まれています。Restorative(リストラティブ)とは、元気を回復させる意味ですので、じっくりじんわりと心地よさを感じてみてください。動画中、インストラクターが提案するポーズや呼吸の回数などは、あくまでもひとつの目安となります。ヨガの呼吸は、基本的に鼻から吸い鼻から吐く鼻呼吸ですが、息苦しさを感じる方は、鼻から吸い口から吐く、ため息をつくなどして、ご自分が呼吸しやすい方法を探りながら行ってください。呼吸が浅くなると、ポーズの効果が薄れるとも言われています。呼吸が浅くなってきたと感じたら、呼吸を楽に行えるよう ポーズを少し緩めてみてください。

プログラムを終えて

リンパ浮腫の軽減を目的とするヨガは、いかがでしたか?ヨガを行う前と後の心身の変化を繊細に受け止め、その違いや余韻を味わってみてください。そして、ヨガを行おうと思った前向きな自分の心を褒め、ヨガを行った身体に感謝しましょう。本プログラムは、ご自宅で気軽に行える内容です。継続することで、心身への良い変化を実感しやすくなります。ご自分の回復レベルや体調に合わせながら、できるポーズから暮らしの中に取り入れてみてはいかがでしょうか。ただし、決して頑張りすぎないようにしてくださいね。ヨガのある日常を選び、日々感じている不自由さを少しでも改善できたら、きっと毎日が少しずつ、より快適になっていくことでしょう。

この特別プログラムが、笑顔になれる毎日へお役に立てたら幸いです。

乳がんヨガインストラクター・平沼穂香(ひらぬま・ほのか)さんプロフィール

乳がんヨガインストラクター平沼穂香(ひらぬま・ほのか)さん

早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科で、医学的見地でスポーツを学ぶ。卒業後には、国家資格である鍼灸師・按摩マッサージ指圧師の資格も取得し、運動療法の臨床経験を積む。その過程で、女性がん経験者やリンパ浮腫に悩む方々へ安心安全な運動の機会を提供したいと考えるようになる。

2021年、その想いと豊富な知識、長年の経験を生かした「女性がんリハビリサロン-BLUE ORGANIC SPACE-」を開室。リハビリヨガやシニアヨガのクラスを中心にパーソナルセッションなどを提供。また、一般社団法人BCY Institute Japanの卒業生として、がん治療による、女性特有の心身の悩みから生じる心身のバランスの崩れに寄り添い、ご自身を取り戻すための空間作りに専心。多くの信頼と共感を集めている。

一般社団法人BCY Institute Japan:「乳がんになってもヨガがしたい」という声に応えて、全国に乳がん経験者向けのヨガ教室を広めるため、乳がんヨガ講師の養成を行っている。(全国乳がんヨガ指導者一覧はこちらですhttps://breastcancer-yoga.org/class)(BCYWEBサイト https://breastcancer-yoga.org/

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