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【体験談】乳がん術後の仕事復帰はいつから?リンパ浮腫や乳房再建術後の働き方と副作用に対する工夫[ルミナルA・40代]

2023.12.27

シイタケキノコさんプロフィール

2021年、42歳の頃に乳がんが発覚。ステージは2bで、サブタイプはホルモン受容体陽性/HER2陰性のルミナルAタイプ。センチネルリンパ節に転移あり。手術+ホルモン療法を実施。仕事は看護師で、介護老人保健施設に勤務。ご主人、中2の長男、小5の長女の4人暮らし。

もし悪性だったらこの(LINEの)スタンプ送るからね

ー まず乳がんが発覚してから、治療を受けるまでの経緯を教えてください。

シイタケキノコさん:乳房をセルフチェックしていた時に、シコリを見つけました。看護師の仕事をしていて、以前に乳がん患者さんの乳房を触ったことがあったので「あ、これ知っているやつ」みたいな感じで、受診する前にもう自覚していた感じです。

一応、二年に一回の乳がん検診でマンモグラフィーと超音波を受けていたのですが、見つかった時には、もう2cm弱の大きさにはなっていました。検診で見つからないこともあるとは聞いていたけど、それが自分の身に起こってしまい、悲しいけどこれはもう淡々とこなすしかないな、と。

ー 仕事はどのタイミングでお休みになられたのですか?

シイタケキノコさん:まず告知直後と、あとは手術のための入院の時にまとまったお休みをいただきました。

告知はクリニックで受けたのですが、手術をする病院の乳腺外科部長の診察が、たまたま告知の翌日にすぽっと空いていて受けられるというので、その日は仕事が入っていたのですが、「診察はなるべく早い方がいい」と、職場の上長が気を利かせてくれて、休みをいただきました。

上長はもともと外科系の病棟出身の看護師さんで、「不安定な時期だから、遠慮せず休んで」と言ってくれ、そこから一週間くらい続けてお休みをいただきました。

それから手術までの2か月ほどは仕事を続け、入院や手術、治療の期間として、2か月ほど休職させていただきました。

ー 看護師という職業柄、職場の理解もかなり得られてよかったですね。

シイタケキノコさん:はい。普通だったら、シフトの休みの日とかに受診日を入れると思いますが、「これは急いだ方がきっといいんだろうな」と思ったので、とても助かりました。

ただ、「明日、急に休みが欲しい」ということだったので、のっぴきならない理由であるということを説明するために告知を受けたその日に、直属の上司2人にはLINEで報告しました。

ー ご家族へ伝えるときに、悩んだりしたことってありましたか?

シイタケキノコさん:私は、シコリを自分で見つけちゃった時点で、否定されることを期待しつつも、ほぼ間違いなくがんだろうなと思っちゃっていたので、主人には割と早い段階で伝えました。「多分、これ悪性だから」って。

それで、「もし悪性だと手術があったり、入院はこれくらいで」みたいな感じで話を進めていて。「もし悪性だったらこの(LINEの)スタンプ送るからね」みたいに話をしていて、告知を受けた後に、チンアナゴがあごを外してガーンっていう表情をしたスタンプを送りました(笑)

職業柄、がんに対する知識が多少はありましたが、家族にとってがんは身近でないため、きっとショックだろうと思い、あえて明るく淡々と過ごすようにしていました。

ー お子様にはどのように伝えましたか?

シイタケキノコさん:ある程度、見通しが立ってからのほうがいいだろうなと思ったので、検査結果が出揃って手術の内容等が色々決まってきたタイミングで話をしました。

絵を描きながら「今、お母さんの胸には悪い細胞があります。こいつはちゃんと仕事をしないで、 他の細胞の栄養を奪って邪魔をしてどんどん増えていきます。今はおっぱいにしかいないから、これを取っちゃえば大丈夫なんだけど。もし、他のところに行っちゃって、肝臓とか肺とかで悪さをすると、お母さん死んじゃうの。だから、今のうちに取るよ」みたいな感じで。

隠さなきゃいけないようなことって思うと怖がるかなって思ったので、 面白おかしくとはできないまでも、明るく話すようにはしていたかなと思います。

乳がん全摘の手術と同時に、乳房の一次再建手術を受けました

ー 乳がんになって気分的に落ち込むようなことは特にありませんでしたか?

シイタケキノコさん:うーん、手術直後は”術後ハイ”みたいな感じで、ポジティブに過ごせていたのですが、1週間ぐらい経った頃に「あ、今までの自分じゃなくなっちゃった」ってふと朝起きて思って、号泣したことがありました。

「あれもできない、これもできない」「だから仕事もできないし、趣味も辞めないといけないのかも」みたいな感じで、落ち込んだ時期も確かにありました。

ー 気分が落ち込んでしまってから、立て直すのに工夫したことや心がけたことがありましたら教えていただけますか

シイタケキノコさん:できないことや制限されることに気を囚われがちなのですが、「できるとしたら、何がしたいの?」と、自分の希望を先に持ってきて、それから、どうしたらそれができるか考えるようにしました。

元通りにできないなら、その活動で自分が大事にしたかったコアの部分は何か?それは別の方法で叶えられないかな?と考えました。

あとは、不安とかのネガティブな感情を無理くりなんとかしようとしないで、ネガティブな気持ちが自分の中にあることをまず許す。ネガティブを内包しながらも、同時並行で楽しいことも考えてやっていく、みたいな。

また、職業柄もあるかも知れませんが、敵の正体を知らないと怖いので、情報収集に努めました。

NPO法人キャンサーネットジャパンの乳がん体験者コーディネーター(BEC)養成講座を受講し、乳がんやそれを取り巻く諸問題について広く学べたことで、ひとつひとつの情報を冷静に判断できるようになりました。

ー 退職するのではなく、休職という形を取られたということですが、シイタケキノコさんの中で当時、仕事復帰のタイミングはいつ頃と想定していたのでしょうか?

シイタケキノコさん:抗がん剤治療の必要性の有無が、手術後の病理検査の結果が出るまでは確定しないということで、復帰時期はそれ次第と職場に伝えていました。

結局、抗がん剤治療はなかったのですが、ホルモン療法の副作用で当初下痢が続いたこと、全摘の手術と同時に乳房再建の手術を受けたので、腕を動かせる範囲が制限されたこと、あとは自転車通勤だったので、いつ頃乗れるようになるかとかを考慮して、復帰時期を考えて行った感じです。

7月の頭に手術だったので、8月の半ばぐらいには復帰できたかもしれないのですが、「無理しないで」と上司から言ってもらったのもあって、8月末までお休みをいただきました。

ー 乳房再建も同時に受けられたんですね。

シイタケキノコさん:はい。なので、私は乳がんの手術後も2回入院しているんですよ。

 2021年7月の摘出手術のとき、同時に皮膚を伸ばすエキスパンダーを入れて、翌年7月には、また16日間入院して、深下腹壁動脈穿通枝皮弁法という、お腹の脂肪を血管付きで胸に持ってきて再建する手術を受けました。休職もやはり2ヶ月程。その時の方がむしろ、術後の注意事項は多かったです。

2023年7月に、今度は再建した乳房の大きさと形を整える手術を受けて、その時の入院は9日間、休職は1か月程でした。

けっこう周りからは、乳房再建では休みづらいという話を聞くのですが、うちの職場はそこに対して何か言ってくるということはなかったですね。特に人数に余裕があるというわけではないんですけどね。

ー 周りからの反応はどんな感じでしたか?

シイタケキノコさん:特に、乳がんの手術に詳しい人が集まっている職場というわけではないんですけど、乳房再建の手術の話なんかは「ええ、今そんなのあるんだ、すごい」みたいな感じで、割と興味を持ってくれる感じはありました。

ある日、腕がポテっとしているのに気づきました

ー 仕事に復帰してから、体調管理の面で工夫していたことや今も工夫していることはあったりしますか?

シイタケキノコさん:ホルモン療法の副作用というところでは、ホットフラッシュで汗をブワーっとかいてしまう時期がありました。でも、それはもう仕方ないので、職場に着替えをいっぱい持って行って着替えるようにしていました。

そして、明らかにうっかりとぼんやりの頻度が増しましたね。これももう副作用として治療のしようがないそうなので、とにかくメモを取る、タイマーをかける、やりかけの仕事は人の目につくところに置いておく、ということを今でも心掛けています。医療関係の仕事ではダブルチェックが当たり前なので、そこにも助けられています。

あとは、これもホルモン療法の副作用で、一時期関節痛が出た時があって整形外科に、婦人科系のトラブルは婦人科に、それぞれかかり、リハビリや漢方薬の調整をしてもらいました。

副作用だから…と自分で我慢してしまったり、症状を乳腺外科で相談しても、先生によってはお忙しかったりするのもあって、あまり対処していただけないこともあるのですが、症状に合わせてそれぞれの科に受診してしまったほうが、私の場合は解決につながりました。餅は餅屋、的な。

どちらかというリンパ浮腫で色々と苦労していることが多いです。

ー リンパ浮腫も発症されたんですね。

シイタケキノコさん:はい。まだ最初の手術の直後で休職していて、さほど腕を酷使していない時期だったのですが、ある日腕がポテっとしているのに気づきました。

手術をした病院の先生に相談したのですが、左右の腕の周径の差とかもなかったので「様子見でいいんじゃないか」と言われました。

一旦は主治医の方針に従おうと思ったのですが、押せば凹むし、血管は見えないしで絶対おかしいと思って。オンラインでリンパ浮腫についての勉強会に参加したり、情報収集をして、リンパ浮腫のセルフケアのレッスンに参加したりしました。

そのレッスンを主宰するセラピストさんに、リンパ浮腫外来の受診を勧められて、リンパ浮腫専門の医師の診察、リンパ管造影検査を受けて診断がつきました。

ー リンパ浮腫を発症したことで仕事には何か支障が出ましたか?

シイタケキノコさん:力仕事が全くできないわけではないのですが、やっていい範囲が限られていることを職場では周知してくれていて。ちょっと体重が重い方の介助とかになると他のスタッフが飛んできて、代わっていただいています。

「何kgからはだめです」と明確に境目が引けるものでもないので、最初はどれくらいの負荷なら平気か様子を見ながら見極めていった感じです。あとは、浮腫対策として弾性スリーブを着けながら仕事をしています。これです。

ー 柄がとても素敵ですね。

ありがとうございます。最初はベージュの地味なデザインのものを着ていたのですが、これをずっと一生着るのかと思うと、なんか悲しくなってきちゃった時があって。ベージュの悪口を言うわけじゃないんですけど(笑)

それで柄があったら楽しいんじゃないかと思って、上司に相談したら「いいんじゃない、それでも」と許可をもらったので、ファッションの一部として色々と楽しんでいます。

ー 決して、マイナスなことばかりではないと。

シイタケキノコさん:そうですね。全部が全部、元通りにならないかもしれないけど、本当にやりようはあると思うんですよね。

私、趣味が楽器演奏で、ずっと吹奏楽団に所属してチューバを吹いていたのですが、でも、チューバって大きい楽器なので、支える時にけっこう腕に負担がかかるんですよね。

それで、術後にバスクラリネットという楽器に変えました。実際にチューバを演奏をしてダメそうだったらそのタイミングで変えるというのも考えましたが、やっぱり安心して舞台に立ちたいなって思ったので。

ただ、全然違う楽器なので、そういう意味で四苦八苦しながら、そういう日常も楽しんでいます(笑)

※この記事はご本人から許可をいただき掲載しています。内容については個人の体験を元に構成したものであり、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありませんし、治療方針については 当社が推奨するものでもありません。ご自身の主治医とよく話し合い、最善の治療を選択してください。 

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